2月20日 クライストチャーチ→ウェリントン





<第四日> 

 朝食を済ませ、街を歩き始めます。
この日、まず向かったところがクライストチャー
チ大聖堂。
 1864年に建設が開始され、様々な紆余曲折を
経ながら40年もの歳月を要して建てられたという
この大聖堂は、クライストチャーチのもっとも象
徴的な建物の一つ。
 青空にスッと伸びたシャープな尖塔は美しいの
一言。対照的に、内部の雰囲気は大変厳かでし
た。

 大聖堂をあとにし、西へ向かいます。エイヴォ
ン川のほとりに建てられているのが、キャプテ
ン・スコット像。1912年、人類初の南極点到達を
ノルウェーのアムンゼン隊と激しく争いました
が、僅かの差で遅れをとった上に帰路で遭難し
たという悲劇の主人公です。

 ここクライストチャーチは古くから南極観測の
拠点が置かれ、それは今日も変わりませんが、
観測技術発展の陰には、彼らの尊い犠牲があ
ることを忘れてはならないでしょう。

街のシンボル・クライストチャーチ大聖堂


悲劇の探検家・スコット像


追憶の門

 スコット像よりエイヴォン川に沿って南に歩を進めます。しばらくすると現れてくる白亜のアー
チが追憶の門。1923年、第一次大戦で散った兵士たちを追悼して建てられたそうです。遠く離
れたヨーロッパの戦場で、生還を夢見ながら帰らぬ人となった兵士と、その家族たちの思いを
象徴するように、この門はひっそりと、しかし力強く青空にアーチを描いていました。

 




アートセンター

 少々湿っぽくなってしまいましたが、気を取り直し街歩きを続けます。
 かつてカンタベリー大学の校舎として使われていたアート・センターやクライストカレッジ、さらにはカンタベリー州庁舎などの重厚な建物をデジカメに収めます。
 ここクライストチャーチは "英国以外で最も英国風な街"と言われていますが、こういった建物を目の当たりにするとその言葉も頷けるというものです。 




クライストカレッジ




カンタベリー州庁舎

ここクライストチャーチは「英国以外で最も英国風な街」と呼ばれている




 やがて筆者は街の西にある広大な公園・ハグレーパークに到着しました。この公園には30ha
の広さを誇るクライストチャーチ植物園があります。ここクライストチャーチは「ガーデン・シティ」
の異名を持つほどガーデニングが盛んな所です。もちろん、その中心的な存在がこの植物
園。敷地内には色とりどり、大小様々の花々が植えられており、入念に手入れされた庭園の素
晴らしさには目を見張るものがあります。その見事さは本家・英国のイングリッシュ・ガーデンに
勝るとも劣らないほどです。今回の旅ではシドニー、ウェリントン、そしてクライストチャーチと大
規模な庭園巡りを楽しみましたが、いずれ機会があればまた訪れてみたいと思わせるような、
素晴らしい所ばかりでした。








ハグレーパークにあるクライストチャーチ植物園


ガーデンシティの異名を持つこの街を 最も象徴している場所のひとつだ





 植物園をあとにし、市内へ戻ります。アーマーSt.では、この街を代表する乗り物の一つであ
るレトロな路面電車が、トコトコと走り続けていました。その後、市中心部に近いヴィクトリア・ス
クェアで小休止。ここには16世紀の探検家、ジェームズ・クックの像が青空をバックに誇らしげ
に建っていました。彼がこの地を訪れたのは1769年。もはや240年近くも前の事になりますが、
彼はここニュージーランドのみならずオーストラリアやカナダ、アラスカなども探検しています。
当時「日の沈まぬ帝国」と呼ばれた大英帝国の、国力の強さが偲ばれるというものですね。






レトロな路面電車




キャプテン・クック像



 その後は再び大聖堂スクェアに戻り、やってきたバスに乗り込みます。今朝のうちに予約をし
ておいたリトルトン・ハーバークルーズに参加するためです。バスは30分ほどでリトルトン港に
到着。ここリトルトン港は、先述のスコット隊が南極点到達を目指して出港した所として知られ
ています。附近には南極観測にまつわる博物館などもあるとの事です。


 バスを降りてしばらく歩き、待っていた小型のクルーズ船に乗り込みます。約2時間に及ぶミ
ニクルージングのスタートです。出発してすぐ筆者の目に飛び込んできたのは純白の大きな船
体。世界一周クルーズの途中でリトルトンに寄港していた日本の豪華客船・飛鳥Uです。時間
とお金さえあれば、一度は乗ってみたいものだと思いますが…。






リトルトン港をクルージング




碇泊していた飛鳥U


 

 この日の南太平洋は、やや波が高かったです。


運がよければ会えるといわれていたイルカ達にも会えずじまい。しかし、わずかばかりではあり
ますが、ニュージーランドの大自然を味わえたのは貴重な体験となりました。



 クルージングを楽しんだ後は空中散歩を楽し
みます。
 リトルトンから程近いガヴェンディッシュ山に
あるゴンドラに乗って山頂へ。この日はやや風
が強かったもののよく晴れており、先程までい
たリトルトン港やクライストチャーチ市街の眺
望を楽しむことができました。
 
 その後はバスを乗り継いで空港へ向かいま
す。再び北島のウェリントンへ戻るためです。
 
 僅か一日限りの滞在でしたが、クライストチ
ャーチの主要な観光地を周ることができ、大
満足でした。

ゴンドラに乗って空中散歩


      

 数十分のフライトを終え、ウェリントンに到着。今夜はここで一夜を過ごさなければなりませ
ん。ドリンクを飲みながら日記をつけているうちに、ニュージーランド最後の夜は更けていきま
した…。