![]() 1月3日 ホーチミン⇔クチ(→東京)
<第七日>
今日はいよいよ今回の旅の最終日。昨日同様、旅行会社のオフィスに出向きます。今日参
加するツアーは、ベトナム戦争の激戦地であったクチを訪れるツアーです。指定されたバスに 乗り込み、出発進行。バイクの群れを掻き分けるようにしてバスは一路北西へ。約2時間程で クチに到着しました。 ここクチはベトナム戦争時、米軍の執拗な爆撃を受けたところです。現在でも爆撃によってで
きた窪地も散見されます。また、米軍に対し戦い抜いたベトコン軍によって作られた地下トンネ ルが、網の目のように張り巡らされているのもまさにここです。
今日ではその歴史が持つ悲惨さよりも、非日常空間への探訪というサバイバルゲーム的感
覚が大衆受けしているようでした。しかしながら、撃破された戦車や、使用された砲弾の展示な どを見ていると、ここで大変な死闘が繰り広げられたことは想像に難くありません。実際にトン ネル内に入ってみましたがとても快適な空間とは言えず、当時の兵士たちの苦労が偲ばれま す。
その後は戦争のドキュメンタリー映像が収められたビデオを見学し、ホーチミンに戻ります。
そして筆者はその足ですぐさま統一会館に向かいました。ここはかつてベトナム共和国(南ベト ナム)の大統領官邸として使われていたところで、巨大かつ豪華な造りが一際目を引きます。 1975年の戦争終結時、ここに北ベトナム軍の戦車が侵入し、南ベトナム政権は崩壊しました。 「サイゴン陥落」です。
戦争はこの国に大きな爪痕を残しました。旧大統領官邸から程近い戦争証跡博物館を訪れ
ます。戦争で使われた戦闘機や戦車はもちろん、当時の写真や遺物などが展示されているこ の博物館は、訪れる者に戦争の悲惨さや残虐さをあらためて思い知らせてくれました。我々は 多くのことを教訓として生かさなければならないはずですが、残念ながら世界の各地では、紛 争やテロが未だに起きています。
その後は気を取り直し、市内散策を再スタート。次に訪れた所がサイゴン大聖堂。19世紀
末、フランス統治時代に建てられたこの大聖堂は、赤レンガの壁が優雅さを演出しています。 天に伸びた二本の尖塔も特徴的。正面には静かに祈りを捧げるような聖母マリアの像もありま した。 また、大聖堂のすぐ裏手には、ヨーロッパの鉄道駅を思わせるような立派な建物がありま
す。サイゴン中央郵便局です。ここもフランス統治時代に建てられたものだそうです。内部は普 通の郵便局として運営されているのはもちろん、切手の展示コーナーやスーベニアショップな ども設けられていました。
ひとしきり市内見物を終え、タクシーに乗って空港へ戻ります。
様々な思い出をくれたベトナム、そしてカンボジアの両国。インドシナ半島が辿ってきた歴史の
重みを肌で感じ、深く胸に刻みつけた筆者は、静かにこの2カ国に別れを告げ、機上の人とな りました。
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