![]() 10月22日 ドブロヴニク→コトル→ブドヴァ→ドブロヴニク
<第七日>
早めの朝食を済ませ、ホテルのロビーへ。しばらくすると、とある旅行会社のミニバンが迎え
に来ました。今日の目的地はモンテネグロ共和国。昨日のうちにワンデイツアーの予約を入れ ておいたのでした。 車内には既に何人かの乗客がいました。ドブロヴニク旧市街のピレ門近くでさらに数人を乗
せ、ミニバンは一路、南東へ。陽光降り注ぐ紺碧のアドリア海を車窓に見やりつつ、快適なドラ イブを楽しみます。 しばらくするとミニバンはクロアチア・モンテネグロ両国の国境に到着。ガイドの方に持参した
パスポートを渡しました。今回の旅ではここが4カ国目の入国ですが、先に訪れたスロヴェニ ア・クロアチアと併せ、ここモンテネグロも旧ユーゴスラビア連邦を形成していた国の一つです。 独立は2006年。誕生してまだ間もない、非常に若い国です。
国境を越え、しばらく行くとミニバンは複雑に海岸線が入り組んだルートに入ってきました。
そして、とある小さな漁村で停まり、ここで一行は小型のクルーザーに乗り換えます。入江の奥
まで来たためか、アドリア海は波一つありません。まるで湖の上を進んでいるかのような、穏や かなクルージングでした。 静かな海面には、ライトブルーのドームが特徴的な小さな教会が浮かんでいました。その名
も「岩の聖母教会」。クルーザーは教会横の船着場に着岸。ツアー一行揃って教会内に入り、 ガイドの説明を受けました。 ![]() アドリア海の入江の奥に浮かぶ「岩の聖母教会」 クルーザーで岸に戻り、再びミニバンに乗って走ります。着いた所が、かつてヴェネツィア共
和国の港湾都市として栄えたコトル。旧市街を取り囲む、重厚な城壁が歴史の重みを感じさせ てくれました。「海の門」と呼ばれる門より旧市街へ入ると、17世紀に建てられたという時計塔 が目に飛び込んできました。ここコトルも、雰囲気抜群の建造物が数多く残っています。 その中でもとりわけ目を引いたのが二本の高い塔を持つ聖トリプン大聖堂。ロマネスク様式の
この教会は、コトルの象徴的な建物の一つです。
さらに筆者は歩を進め、街の背後に迫る山の斜面にトレースされた旧城壁へ。オスマントル
コの侵攻に備えて造られたというこの城壁は、所々崩れかけていて歩きにくいところもありまし た。しかし、斜面の中腹に建てられた救世処女教会のあたりからコトルの街を望んだ時にはそ んな苦労も吹き飛んでしまいました。 眼下には「バルカンのフィヨルド」と形容される、ダイナミックな光景が広がっていました。
急峻な山々が海面より幾重にも聳え、複雑な地形を形作っています。三角形をした旧市街は
二辺を海と川、残る一辺を険しい山で遮られ、ここがかつて天然の要害であったことを思い起 こさせます。 ![]() コトル旧市街より、「バルカンのフィヨルド」を俯瞰 右手前に見える塔は救世処女教会 その後はまたもミニバンに乗ってここから程近いブドヴァへ。マリーナとなっているスロヴェン
スカ・ビーチに面したレストランでランチをとり、ブドヴァの旧市街を散策。ここブドヴァもドブロ ヴニクやコトル同様、分厚い城壁で囲まれた要塞都市です。
規模こそあまり大きくありませんが、中世の雰囲気を色濃く残していました。アドリア海に向か
って突き出された大砲が頼もしく見えます。また、聖三位一体教会をはじめ、ヒストリカルな建 物も多く残っています。それに加え、隣接したビーチを持つというこの街は現在ではモンテネグ ロきっての観光地として多くのツーリストを集めています。僅か一日のツアーではありました が、未知なる国、モンテネグロの歴史の一部に触れることができ、この国を身近に感じること ができました。また機会があれば是非、訪れたいと思います。
筆者たちを乗せたミニバンは、今朝越えた国境を今度は逆の向きに越え、クロアチア・ドブロ
ヴニクに帰還しました。ツアー一行たちと別れ、夕食を済ませた頃には、輝く満月が、闇に沈 みゆく城壁をやさしく照らしていました。それはまるで、今回の旅・最後の夜を惜しむかのようで した。 ![]() 城壁の上に満月が輝く・・・
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