3月12日 ワシントンDC





<第五日>


 昨日より投宿しているここ、ホステリング・インターナショナル・ワシントンDCはロケーションが
抜群に良く、主な観光名所に非常に近いんです。


 今朝も早々にユースを発ち、徒歩にてホワイトハウスに向かいます。2001年のアメリカ同時
多発テロ以来、政府関係の建物はとても警戒が厳しくなってしまいました。以前は内部を見学
できたというここホワイトハウスも今では一般観光客の場合、若干離れた場所より写真を撮る
ことが許されるのみ。しかし、このアメリカを象徴する建物を見ることができただけでも筆者は
充分に満足しました。







ホワイトハウス






  ホワイトハウスからはワシントン記念塔を間
近に眺めつつ、第二次世界大戦・戦勝記念広場
へ。ここには大きな記念碑が左右両側に建てら
れています。



 ナショナルモール側から見て正面右側が大西
洋戦域(対独戦)、左側が太平洋戦域(対日戦)
のものです。ニューオーリンズの項でも触れまし
たが、やはり1人の日本人としてこの様な物を見
ることは複雑な気分です。なぜ日本はこの様な
大国相手に戦争を仕掛けてしまったのか…回避
する手立てはなかったのか…犠牲者を減らす方
法はなかったのか…今のアメリカの人たちは日
本人のことをどのように思っているのだろうか…
など、様々な思いが胸中を交錯しました。



第二次世界大戦・戦勝記念碑


 気を取り直し、さらに歩を進めます。そして白亜の神殿風の建物の中に入りました。ここは、
言わずと知れた第16代大統領、エイブラハム・リンカーンのメモリアルです。


 巨大な肘掛け椅子にドッカリと鎮座するその姿は、今もなお、英雄として米国国民より圧倒的
な支持を得ている何よりの証でしょう。"Government of the people,by the people,for the
people."(人民の、人民による、人民のための政治)という民主主義の理念を唱えたその科白
はあまりにも有名です。見所の多いDCの中にあっても、ここの集客力の高さには凄まじいもの
がありました。







合衆国 第16代大統領・A.リンカーン



 リンカーンメモリアルを後にし、ポトマック川沿
いをしばらく歩きます。すると、ドーム型の屋根を
持つ立派な殿堂が見えてきました。ここは第3代
大統領、トーマス・ジェファーソンの記念館です。



 ジョージ・ワシントンらと並び、アメリカ独立の立
役者の一人である彼は、1776年、生命・自由
の尊重、幸福の追求を謳った「独立宣言」を起草
した人物としてその名が知られています。現在の
アメリカ連邦制は、彼によって土台作りがなされ
たといっても過言ではありません。



合衆国 第3代大統領・T.ジェファーソン



 ここからは昨日同様、再びスミソニアンへ。その中の一つ、「国立アメリカ歴史博物館」へ入り
ます。


 ここは文字通り、建国以来、いや以前からのアメリカの歴史そのものを見学できる博物館で
す。館内には19世紀の古い家具や部屋が忠実に再現されているフロアーや、「古き良き時
代」の象徴ともいえる幌馬車が展示されているコーナー、その後急速な発展を遂げていった自
動車や機関車などが飾られているコーナーなどが設けられ、大変興味深いです。歴代大統領
と、そのファーストレディーのコーナーなんてのもありました。


 ここで初めて知ったのですが、初代のワシントンから数え現在の第43代ジョージ・W・ブッシ
ュに至るまでの大統領で、暗殺されたものが第16代のリンカーンをはじめ計4人。未遂も含め
れば、おそらく相当な数に上るのではないでしょうか。まさに命懸けの仕事なのだなと思いまし
た。


 それにしてもスミソニアンは魅力的な場所です。とても2日ばかりでは全く時間が足りません。
最低もう2日は欲しいところでした。






国立アメリカ歴史博物館には「古き良きアメリカ」を思わせるものも多く展示されている