3月14日 フィラデルフィア→ニューヨーク





<第七日>


 ここフィラデルフィアは、アメリカ合衆国生誕の地として知られています。1776年7月4日、ト
ーマス・ジェファーソンによって起草された「独立宣言」がこの地で採択されたことはあまりにも
有名です。


 比較的歴史の浅い国であるアメリカにおいて最もヒストリカルな場所であるといっても過言で
はないでしょう。そのため草創期のアメリカにまつわるものを見学したいなら、やはりこの街は
はずせません。


 今日では「インディペンデンス国立歴史公園」として整備され、アメリカ国内はもとより世界各
国から集まる観光客によって連日賑わいを見せています。





 この日、まず筆者が向かった所がリバティベル・センター。ここには独立宣言がなされたとき
に高らかに打ち鳴らされ、その後も自由の象徴として永く米国国民の心の支えとなってきた大
きな鐘(リバティベル)が展示されています。


 現在では大きな亀裂が入ってしまっているために残念ながらその音を聞くことはできません
が、今なお自由の国・アメリカを象徴するものの一つであることに変わりはありません。


 リバティベルを見学したあとは、インフォメーションセンターで入場券をゲットし、独立記念館
へ。建国以来、アメリカの歴史を見守り続けてきたこの建物は、大きさほどさほどではないもの
の、なんとも言えない威厳のようなものを漂わせていました。


 初の憲法制定会議や初の国会が開かれた場所もまさにここです。また、建物の前には直立
姿がりりしいアメリカ合衆国初代大統領、ジョージ・ワシントンの銅像があります。


 1775年以降、約8年に及ぶイギリスとの独立戦争を指揮し、ついには独立を勝ちとったまさ
に建国の父。ここで記念写真を撮りたがる人が多いのも分かろうというものです。






リバティベル




合衆国 初代大統領・G.ワシントン



 ここからはデラウェア川に臨むウォーターフロント地区へ。ここには19世紀後半の米西戦争
で使用された旧軍艦「オリンピア」と、第二次世界大戦で活躍した潜水艦「ベキューナ」が係留
されています。もちろん両艦とも内部が見学できるようになっています。


 特に「ベキューナ」の中に展示されていた、巨大なトルペード(魚雷)が印象に残りました。昨
日のアバディーンといい、ここフィラデルフィアといい、アメリカは戦争で使われた兵器を一種の
記念碑的存在として位置づけ、観光資源の一つとしています。これはアメリカのみならず、他
のヨーロッパ諸国もほぼ同様です。日本は周辺諸国に気を使っているのかどうか分かりませ
んが、こういった施設は割と少ない気がします。


 また、デラウェア川をはさんだ対岸には、巨大な軍艦が係留されている姿も見ることができま
す。その名は戦艦「ニュージャージー」。第二次大戦における、米国艦隊を代表する存在でし
た。






潜水艦「ベキューナ」




ベキューナの魚雷発射装置





旧軍艦「オリンピア」




戦艦「ニュージャージー」




アメリカ最古の住宅街・「エルフレス」小径

 ウォーターフロント地区からはエルフレス小
径へ。


 ここは1700年代に建てられた古い家が軒
を連ねているという、アメリカで最も古い住宅
街の一つ。


 とても小ぢんまりとした通りですが、石畳の
路面と古い造りの家が何とも言えない良い雰
囲気を醸し出していました。






 その後は昼食をとり、チャイナタウンのチャイナバス乗り場へ。チケットを買い、ニューヨーク
行きのバスに乗り込みます。片道12ドルと安価。その上各座席にも、折りたたみ式のミニテー
ブルが設置されているなど使い勝手も良かったです。1時間45分程でニューヨークに到着。最
寄の駅まで歩き、そこから地下鉄に乗ります。  


 アッパーウエストサイド地区のユースホステルに行ってみたのですがなんと客で一杯の状態。
仕方なく、ユースの受付係からもらったホテルリストを手に片っ端から電話をかけます。


 15件目ぐらいでようやく見つけることができましたが、宿泊費はフィラデルフィアの倍近い約
40ドル。そこでたまたま一緒になった日本人旅行客と話をしたのですが、彼らも皆一様にニュ
ーヨークでの宿探しには苦労させられたとの事。まさに世界の中心地・ニューヨーク。今宵ほど
それを痛切に実感させられたことはありませんでした。