1月23日 →ブカレスト





<第四日>


 AM3時、個室寝台のドアをコツコツと叩く音で目が覚めます。どうやら国境駅のカピクルに到
着したようです。すぐさまパスポートを持参して列車を降りるようにと指示を受けました。


 ここトルコは出国の際、駅の構内にあるパスポートコントロールにて出国審査を受けなけれ
ばなりません。


 深夜の国境駅はとても寒く、またモヤがかかっていたため星一つ見えませんでした。筆者を
含め数十人の乗客と乗員たちが出国の手続きを行いました。


 同時に機関車の交換も行われていたようで、都合この駅には1時間以上も停まっていまし
た。


 午前4時過ぎ、ようやく再出発したと思ったのも束の間、今度はブルガリアのスヴィレングラッ
ド駅での入国審査です。しかしこちらは係員が乗車しての手続きだったので、寒い思いはせず
に済みました。






出国手続きを受けたカピクル駅




こちらはヴェリコ・タルノヴォ駅



 「海外列車の旅」ならではの体験を済ませ、再び眠りに落ちます。いくつかの駅に停車しなが
ら、列車はバルカンの大地を駆け抜けていきます。


 目を覚まし、しばらくすると列車はとある駅に停車しました。ヴェリコ・タルノヴォ駅です。かつ
て12世紀から14世紀にかけ、200年以上に渡って第2次ブルガリア帝国の首都が置かれたこ
の地は、古都ならではの落ち着いた雰囲気を持った街としてツーリスト達に人気があります。
また、最近では大相撲の大関・琴欧州の出身地として我が国でも知られるようになりました。


筆者も機会があれば、いつか是非じっくり時間をかけ、散策してみたいと思いました。





 列車は再び走り始めました。車窓から見える風景は、ブルガリアの素朴な農村地帯を映し出
していました。しばらくすると、ルセの駅。ドナウ川のほとりに位置するこの街でブルガリアの出
国手続きを受けます。






列車はバルカンの大地を駆け抜けていく。車窓から見える景色はのどかな農村風景ばかり





 30分停車の後、ヨーロッパを代表する大河・ドナウ川を越えてルーマニアへ。そして今度はギ
ュルギュウ駅にてルーマニアの入国審査を受けました。


 一連の手続きを済ませ、列車はさらに北上を続けます。そして午後四時半、ついにブカレス
ト・ノルド駅に到着。約19時間の長い列車旅(停まっていた時間も長かった!)を終え、疲れ気
味だったのですぐにホテルを探します。


 駅前に位置する、一泊日本円にして約2500円の安ホテルを見つけ、迷わずチェックインしま
した。






ドナウの大河を越え、ルーマニアへ




ブカレスト・ノルド駅