![]() 1月24日 ブカレスト→シナイア→ブカレスト→
<第五日>
ホテルをチェックアウトし、ブカレストの街を散策します。人口が200万人を超えるこの大都市
は、他国同様、車の交通量がとても多いです。 かつては「バルカンの小パリ」と称えられたこの街でしたが、第二次世界大戦及びその後に
続いた共産主義の時代を経て、雰囲気がだいぶ変わってしまったそうです。しかし街の所々で は、今尚往時の優雅な雰囲気を目にすることができます。
歩き始めて約20分、筆者の目の前には巨大な建造物が姿を見せてきました。その名も「国
民の館」。かの悪名高き故チャウシェスク大統領が、己の私欲を満たすために作らせた宮殿と 言われています。無論、「国民の…」などというネーミングは名ばかりで、独裁者のもと多くの国 民は重税や飢餓に苦しめられていました。 その不満がついに爆発したのは1989年。「流血のクリスマス」といわれたクーデターで大統領
夫妻は処刑、さらにその映像が全世界に放映されるというショッキングな大事件は、いまだ筆 者の脳裏に鮮明に焼きついています。
ここシナイアは、標高が800m近いとあってさすがに寒いです。積雪もかなり目立つようになっ
てきました。 時折、凍結した路面に足を取られながら歩くこと約15分、着いた所がペレシュ城。19世紀に
ルーマニア王室の夏の別荘として建てられたドイツ・ルネッサンス様式の壮麗な城館です。大 砲が周到に配置された中庭や、美術品などが展示された建物内部は見応えがありました。
済ませ、夜行列車のチケットを買って乗車。 この日の寝台は2人用の個室でした。室内には上下にベッドが配置され、小型の洗面台や鏡
が備え付けられています。さらにコンパートメント車両の前部には、シャワールームとトイレが 設けられていました。 この日同室となったのはルーマニアのビジネスマンの方。コンピュータ関連のお仕事をされて
いるそうです。といっても日本人のような堅苦しいイメージはない気さくな若者です。彼曰く、明 日からブルガリアで打ち合わせがあるとのこと。ヨーロッパでは、こんなことは日常茶飯事であ るそうです。 「国際派ビジネスマン」の彼が、少し眩しく見えました。
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