10月24日 ポルト→リスボン

<第六日>

 そそくさと荷物をまとめ、ホテルをチェックアウト。
連日の移動は大変ですが、これは筆者の好む旅のスタイルの一つです。

サン・ベント駅より近郊電車でカンパニャン駅に向かい、ポルトガル版・新幹線ともいえる「アルファ・ペンドゥラール」

に乗車します。

 全席指定のこの列車は、早いだけでなく、内部もきれいで快適です。

振り子式と呼ばれる、カーブでもスピードを落とさず走れるシステムを採用しているだけに、列車は快調な走りを続けます。

リスボンまでの約3時間が、とても短く感じられました。そしてお昼すぎ、列車はリスボン・サンタアポローニャ駅に到着。


▲ポルトより列車でリスボンへ

▲リスボンに到着した「アルファ・ペンドゥラール」


 地下鉄に乗り換え、ロシオ駅近くの安ホテルにチェックインします。

荷物を置いて身軽になり、早速リスボンの観光へと乗り出します。

まず最初に向かった所が観光案内所。ここで48時間有効のリスボアカードを購入し、再び地下鉄に乗車しました。尚、

このリスボアカードですが、市内及び近郊の交通機関に何度でも乗車できることはもちろん、多くの観光スポットにも

無料及び割引料金で入場できるスグレモノです。


 筆者はカイス・ド・ソドレ駅にて地下鉄より近郊列車に乗り換え、ベレンへ。

駅近くのテージョ川沿いに出てみると、サンフランシスコのゴールデン・ゲートブリッジによく似た4月25日橋が見え、少し

不思議な気分になりました。


▲ロシオ広場

 ▲4月25日橋。ここはサンフランシスコ?!

 川沿いのマリーナ風の地区をしばらく西に歩くと、見えてきたのが「発見のモニュメント」。これはかつてポルトガルが

栄華を馳せた大航海時代を記念して建てられました。先頭に立つのはエンリケ航海王子。

 探検家たちの後援者となり、大航海時代の幕を開けた人物としてポルトガル史上にその名を残しています。

尚、このモニュメントにはインド航路等を発見したヴァスコ・ダ・ガマや、初めて世界一周を成し遂げたフェルディナンド・

マゼランなど大航海時代を彩るそうそうたる探検家たちが名を連ねています。



               ▲「大航海時代」の栄光を今に伝える「発見のモニュメント」



▲先頭に立つはエンリケ航海王子

▲こちらはヴァスコ・ダ・ガマ

▲世界一周のマゼランもいる

  ▲世界地図のタイルが敷き詰められていた

 モニュメント前の広場には大きな世界地図とポルトガル船が初めて訪れた年号が刻まれたタイルが敷き詰められて

います。日本の部分を見てみると、1541年と記されていましたが、万里の波濤を乗り越え、極東の島国に辿り着いた

当時の船員たちの勇気には、ただただ感服するばかりです。

モニュメントからは、さらに川沿いを西へ。やがて見えてくる白亜の城砦のような建物が、ベレンの塔。

その優雅な外観から、「テージョ川の貴婦人」の異名を持つこの塔が建てられたのが1520年。河口を守る要塞として

建てられましたが、税関や灯台としての役割も果たしたそうです。



                       ▲「テージョ川の貴婦人」ことベレンの塔


 世界遺産にも登録されており、この日も大勢の観光客で賑わっていました。

塔の内部は狭いので、階段の上り下りが結構大変でした。

ベレンの塔を後にし、地下道を歩いてこちらも世界遺産のジェロニモス修道院へ向かいます。

16世紀初頭の創建だそうですが、マヌエル様式と呼ばれる壮麗な造りは、大航海時代黄金期の、ポルトガルの栄華を

今日に伝えています。



                      ▲こちらも世界遺産「ジェロニモス修道院」



▲ここにもアズレージョが

   ▲手入れされた中庭も見所の一つ

 アズレージョに彩られた回廊や、教会内部の彫刻やステンドグラスの美しさは勿論、よく手入れされた中庭も見応えが

ありました。

また、ポルトガルを代表する二人の偉人、ヴァスコ・ダ・ガマとルイス・デ・カモンエスが眠る棺も厳かに安置されています。

ベレン地区の観光を終え、カイス・ド・ソドレ駅に戻ります。リベイラ市場の横を抜け、ケーブルカー乗り場へ。

ここリスボンは丘の街として有名です。しかし、市内をケーブルカーや路面電車が縦横に走っているので、移動はさほど

苦ではありません。

 筆者もマッチ箱の様なかわいいケーブルカーに乗って街の中心部に戻ります。その後は一旦ホテルに帰って小休止し、

日も暮れなずむ頃再び街歩きへ。



▲ケーブルカーの乗り場へ

▲可愛いケーブルカーがやってきた

  路面電車を利用し、向かった所がサン・ジョルジェ城。ライトアップされた姿が、とても幻想的です。

しかもこの時期は夜9時まで見学できるので、一日をフルに観光したい人にはうってつけのスポットです。しかしながら、

夜の古城はとてもミステリアス。



▲ライトアップされたサン・ジョルジョ城へ

▲城から望む夜景

 今にも城門からヨロイに身を固めた、中世の騎士が現れそうな雰囲気でした。

城を後にし、庶民的な旧市街地・アルファマ地区へ。

こ の地区にはポルトガルの民族音楽として古くから歌われている「ファド」の生演奏が聞けるレストランが多く建ち並んで

います。

筆者もその中の一軒に入り、ディナーを注文。(赤ワイン&白身魚)

ギターの伴奏に合わせ、歌われるファドはどことなくモノ悲しく、郷愁を感じさせてくれます。

この調べこそが、「サウダーデ」と呼ばれるポルトガルを体現する旋律です。

それは、はるかな昔に過ぎ去った、この国の繁栄の時代を思い起こさせるメロディーでした・・・。



      ▲アルファマ地区のファドレストランにて。「サウダーデ」と呼ばれる旋律が郷愁を誘う・・・




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